MFW VRANJES FIRENZE トラム エクスペリエンス

1983年にイタリア・フィレンツェにて創業した、ルームフレグランスブランド「ドットール・ヴラニエス フィレンツェ」。ルネッサンスの都、フィレンツェが持つ伝統的な気品に、最高品質のエッセンスを使用した革新的な調香技術が融合した高貴な香りで知られています。日本で古代から香を焚いて客人をもてなしたように、ルームフレグランスはイタリアではおもてなしの一部でもあり、また家族や友人と過ごす家でのひと時を演出する大事な要素でもあります。そして、洗練された調香と卓越した持続性・奥行きを備えた「ドットール・ヴラニエス フィレンツェ」の香りは、ルームフレグランスの代名詞として、愛されてきました。

 

その「ドットール・ヴラニエス フィレンツェ」から、新作のオードパルファムコレクション「FIRENZE IN TRANSLATION(フィレンツェ イン トランスレーション)」が発表されました。ブランドのルーツであるフィレンツェへのオマージュとして誕生したこのコレクションは、フィレンツェの街並みやその周辺にあるトスカーナの自然で過ごすひとときからインスピレーションを得て、爽やかな朝の雰囲気から、センシュアルな夜のイメージまでを8つの香りで表現しています。そのボトルデザインも、ルネサンスの美学をイメージし、ボトルの角に八角形のラベルをあしらった、洗練されたビジュアルです。ラインナップは100mlに加え、40ml、ミニチュアサイズの15ml、そして8つすべての香りのトラベルサイズ(1.5ml)を収めたディスカバリーセットで展開されます。
さて、このコレクションのお披露目イベントは、ミラノ・ウイメンズファッションウィーク初日の9月23日に、トラム(市電)をジャックするというユニークな形で開催されました。一般の方も9月24日から29日まで公開されました。

 

このイベントのために通常はオレンジ色のトラムの外観も「ドットール・ヴラニエス フィレンツェ」仕様に。

 

スタート地点は、ミラノの代々の領主たちの城であったスフォルツェスコ城の前の広場。そこからミラノの象徴的なスポットを木製インテリアの旧型トラムで旅しながら、新作を体験する30分のツアーです。昔ながらのトラムには、新作オードパルファムコレクションの展示から、SNS用に写真撮影ができるコーナーまでセットされていました。

 

(上)レトロな雰囲気を生かしつつ、トラムはお披露目用の特別なレイアウトに。新作オードパルファムコレクションの8点が並び、スクリーンではイメージ動画が流れました。
(下)フィレンツェの街の風景を描いた、フォトコールのようなセットも。参加した人たちはこのセットの前に立ち、SNS用写真を撮って楽しんでいました。

 

20人程度しか乗車できないアットホームな雰囲気の中、このオードパルファムの生みの親である調香師、エレオノール・ブルニエから直々にそれぞれの香りついての説明を聞きながら、すべての香りを試すことができるゴージャスなひと時。

 

調香師のエレオノール・ブルニエ。パリ生まれ、グラースで修行した後、数々のフレグランスハウスで経験を積み、2年前から「ドットール・ヴラニエス フィレンツェ」へ。

 

移り変わる一日の様々な瞬間を表現したこのコレクションのイメージに、トラムでミラノの旧市街を“トランスレーション(移動)”する様子が重なります。この企画は、メディア向けの発表だけでなく、予約制で一般にも公開され、街中の話題となりました。
さて今回のローンチで発表された8つの香りにはそれぞれに詩的なストーリーが添えられています。フランス人調香師のエレオノールは、「いくつかの香りはかねてから私がアイデアを抱いていたもので、それを他の香りと併せて1日の様々な瞬間を香りとして表現しようと思いました。私はフランス人なので、イタリア人には当たり前すぎて気づかないような小さなことも私にとっては大きな発見なのです。例えば音楽、スイーツ、伝統、自然といったフィレンツェやトスカーナの日常の出来事を私の言葉、つまり香りで語りたいと思いました」と語ります。

 

 フィレンツェの大聖堂を代表とする、ルネサンス時代に比例的調和と均斉の象徴とされた八角形を活かしたボトルデザイン。

そんなエレオノールの新鮮な感動が時の経過を通して表現されます。まずはフィレンツェの早朝のリズムを描く 「マットゥティーノ」。黄金の光がフィレンツェの丘を照らし、鳥のさえずりやカフェでの挨拶の声などが聞こえる、爽やかな朝の様子を表現しています。スパイシー、シトラス、ウッディなブレンドをベースに、サンダルウッドとムスクが溶け込み、ブラックペッパーやジンジャーの刺激的なテイストを添える香りです。次は、真夏の午後、遠くに見える避暑地に続く黄金色の小麦畑をイメージし、木陰で休む静けさを表現した「メリッジャーレ」。リンデンやオレンジの花の香りにバージニアシダーウッドやホワイトムスクを加えた温かみのある香りです。

 

 

そして、常緑の糸杉の香り漂うトスカーナの絵葉書をイメージし、そんな風景の中で、目眩がするような感動の瞬間を表す「カポジーロ」。ベルガモット、イタリアン・サイプレス、ハイチ産ベチバーが調和しています。4番目は“花びらにあふれた”という造語から作られた「ペタローゾ」。その名の通り、フィレンツェにあるバラ園で5月に香る様々なバラの香りからのインスピレーションで、ローズジャムとパチョリにピンクペッパーを添えた、フルーティ&フローラルな香りが生まれました。

 

 

そこから時間は夕暮れへと移り、謎めいた魅力と意外性に満ちた「イントリーゴ」が登場。革小物で有名なトスカーナの職人技を象徴するようなレザーの香りに、ウード、パチョリなどをブレンドした個性的でパワフルな香りです。そして6番目には、夕食の前に食前酒を楽しむひと時のイメージで、イタリアの「ドルチェヴィータ(甘い生活)」を表現した「ティンティンニーオ」。オレンジやマンダリンの柑橘系の香りは、イタリアで大人気の食前酒、アペロールスプリッツからの連想。そこにウッディなシダーウッドやシナモンのノートがプラスされています。

 

 

7番目には、陰影のコントラストで劇的な効果を生む絵画技法に因んで名づけられた「キアロスクーロ」が続きます。フィレンツェの道や銅像に影とグラデーションが映し出されるような、光と影が織りなすミステリアスな夜の雰囲気を表現。オレンジ、ナツメグ、トンカビーン、ラベンダーが溶け合う、スモーキーでスパイシーな神秘さが漂います。そして1日の最後を彩るのは真夜中の虚ろな時間をイメージした「ノッテテンポ」。フィレンツェの大聖堂の上に広がる夜空と星のミステリアスな夜の闇を、アマレーナとラム酒のようなフルーティなリキュールの香りに、オークウッドとバニラを加えて表現し、甘くセンシュアルな大人の雰囲気を醸し出します。

 

「8つの香りを一挙に発表するというのはかなり大掛かりなプロジェクトでした。でもそれぞれの香りがパーソナリティを持って重要な役割をしていて、それによって様々な個性を表現してくれます。私は、香りは他の人と共有するものであり、自分を表現するための“手段”だと考えていますが、これらの香りはまさに自分の感性をピュアに表現してくれるものだと思います」とエレオノールは語ります。

将来的に、オードパルファムコレクションのプロジェクトはますます広がる予定だとか。ルームフレグランスの代表的ブランドから、総合的な香りのブランドへ。香りの本質を追求し、科学的かつ創造的な研究を通して生まれる「ドットール・ヴラニエス フィレンツェ」。その動きから今後も目が離せません。

 

ファッションウィークを訪れた世界中のメディアだけでなく、一般の人たちも巻き込んだ新作イベントは大盛況。

 

まだ残暑で汗ばむような日もあったイベント期間中には、フレッシュな果物やハーブの香りがする水をミニボトルで提供。

 

Text: Miki Tanaka